講座内容の説明と学習方法
講座内容の説明と学習方法
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『介護福祉士の倫理・義務・欠落事由』と『福祉六法』および『高齢者虐待防止法』、『障害者の虐待防止法』について学びます。確実に押さえなければならない最低限のポイントについて記載しています。全てをマスターすることにより、しっかりとした基礎ができます。
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介護福祉士に求めれる倫理
社団法人日本介護福祉士会は、倫理綱領を次の様に定めています。先ずは、前文に目を通しましょう。
介護福祉士会倫理綱領
【前文】私たち介護福祉士は、介護福祉ニーズを有するすべての人々が、住み慣れた地域において安心して老いることができ、そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。
そのため、私たち日本介護福祉士会は、一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉の専門職として、ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって最善の介護福祉サービスの提供に努めます。
倫理綱領7項目【要約】
利用者本位・自立支援 | 基本的人権を擁護し、利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重して自立に向けたサービスを提供する。 |
専門的なサービスの提供 | 専門的知識を習得・研鑽し感性と洞察力を培いサービスの向上に努める。専門職の責任を負う。 |
プライバシーの保護 | 個人情報を守る。 |
総合的なサービスの提供と積極的な連携、協力 | 福祉、医療、保健など他職種と連携する |
利用ニーズの代弁 | 読んで字の如く。 |
地域福祉の推進 | 地域の介護問題を積極的に解決する。 |
後継者の育成 | 教育水準の向上、後継者の育成に力を注ぐ。 |
介護福祉士の義務
秘密保持義務 | 正当な理由がなく、介護福祉士の業務で知り得た情報や秘密を漏らしてはならない。 介護福祉士ではなくなった後も同様、秘密保持義務が発生する。 1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。 また、信用失墜行為の禁止と同様、登録の取り消しまたは期間を定めて介護福祉士の名称の使用の停止を命ずることができる。 | 罰則あり |
信用失墜行為の禁止 | 介護福祉士という立場であることを自覚し、信用を傷つけるような行為をしてはならない。 登録の取り消しまたは期間を定めて介護福祉士の名称の使用の停止を命ずることができる。 | 罰則あり |
名称の使用制限 | 介護福祉士は業務独占ではなく名称独占の国家資格。 介護福祉士の国家資格を取得していない方が、介護福祉士と名乗ることを禁止している。 介護福祉士の名称の使用の禁止を命ぜられた期間中に、介護福祉士の名称を使用した場合、30万円以下の罰金に処せられる。 | 罰則あり |
誠実義務 | 個人の尊厳を保持することを意味する。自立した日常生活を営んでいくことができるようにするため、利用者様・入居者様の立場に立ち、誠実に業務を行うこと。 | |
品質向上の責務 | 相談援助や介護における知識・技術を向上させるべく努めることとしている。 | |
連携 | 福祉サービス関係者などと、連絡・連携を保ち維持していくこと。 |
介護福祉士の欠落事由
- 心身の故障により社会福祉士又は介護福祉士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
- この法律の規定その他社会福祉又は保健医療に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
- 規定により介護福祉士の登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
過去問を5問やってみました。スライドさせて確認できるよ。
【過去問をやって悩んだこと】
- 2007年の同法改正により、介護福祉士が行う業務内容が、「入浴、排泄、食事その他の介護」から、「心身の状況に応じた介護」と新たに規定されました。恥ずかしながら、知りませんでした。
- 介護福祉士となる資格を有する者が介護福祉士となるためには、都道府県知事に申請し登録しなければならないは誤りですが、一時期そう思っていました。
- 罰則関係はしっかり暗記した方が良い。信用失墜行為に罰金はない。
福祉六法三法
法律の内容はともかく、下表をしっかり覚えましょう。
福祉三法は、「生活保護法」・「児童福祉法」・「身体障害者福祉法」ね。
自助・互助・共助・公助
『川崎市地域包括ケアシステム連絡協議会事務局さん』にとても分かりやすい図解がありました。基礎学力を身につけるにはこれで十分です。しっかり覚えて過去問をやれば完成です。
自助 | 自分自身で自分をケアすること。 |
互助 | みんなで支え合うこと。周りの人同士で助け合い、町内会・自治会の活動、ボランティア活動など。 |
共助 | 介護保険や医療保険などのサービス。社会保険制度によるサービスなど。 |
公助 | 行政による支援。生活保護、高齢者福祉、障害者福祉など行政による支援。 介護保険や医療保険は公助である。混同しがちだから気をつけよう。 |
高齢者虐待防止法
高齢者虐待は、『家庭内虐待』と『施設内虐待』の二つに分離され、その類型は身体的虐待、心理的虐待、介護の放任(ネグレクト)、性的虐待、経済的虐待がある。
❶虐待の類型で多い順
- 身体的虐待 ⬅︎最も多い
- 心理的虐待 (2位)
- 介護等放棄 (3位)
- 経済的虐待 (4位)
❷虐待は女性が8割弱と多い。
❸虐待者の続柄
- 息子 ⬅︎最も多い
- 夫
- 娘
高齢者虐待防止法では、「高齢者」を「65歳以上の者」と定義しているけど、65歳未満の者は適用されないの?
老人福祉法及び介護保険法に規定される養介護施設・事業所を利用する65 歳未満の障害者は、高齢者とみなし養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する規定が適用される。
❹通報義務
- 擁護者による高齢者虐待を受けていると思われる高齢者を発見した者は、生命または身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに市町村に通報しなければならない。
- 要介護施設従事者等は、施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに市町村に通報しなければならない。
- 擁護者の高齢者に対する虐待を発見した者は通報するよう努めなくてはならない。(努力義務)
- 擁護者から虐待を受けている者の生命身体に重大な危険が生じている場合は通報しなければなりません(義務)
- 養介護施設従業者等には、高齢者の虐待を発見した場合に通報義務があります。(義務)
❺通報による免責
- 通報しても、守秘義務違反には該当しない。
- 通報したことを理由に不利益(解雇など)な扱いを受けない。
❻市町村の対応
- 高齢者の生命や身体に重大な危険が生じている場合、立ち入り調査ができる。警察署長に援助を求めることができる。
- 必要により、一時保護する為に老人福祉法による保護のための措置を行う。
- 相談・指導・援助等の事務を地域包括支援センターなどに委託できる。
障害者虐待防止法
❶障害者の定義等
障害者虐待防止法では、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他心身の機能や障害がある人や、その他に心身の障害や社会的障壁によって、継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態にある人」をいう。
『擁護者による虐待』・『施設内虐待』・『使用者による虐待』がある。
使用者による虐待とは何ですか?
障害者を雇用する事業主や経営担当者その他、工場長、労務管理者、人事担当者などが虐待を行うことです。
❷法的な特徴
- 擁護者に虐待を受けている者が18歳未満の場合は、児童虐待防止法の対象となる。
- 高齢者施設等に入所されている場合は高齢者虐待防止法の対象となる。
- 障害児入所施設等に入所している場合は児童福祉法の対象となる。
❸虐待行為の類型は、高齢者虐待と同様です。
- 身体的虐待
- 心理的虐待
- 介護放棄(ネグレクト)
- 経済的虐待
- 性的虐待
❹虐待の類型で多いのは、身体的虐待です。
❺被虐待者(虐待を受ける者)で多い障害種別は、知的障害です。
❻通報義務
障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した人は「速やかに、これを市町村(又は都道府県)に通報しなければならない」という義務を定めています。
高齢者虐待防止法では、「生命身体に重大な危険のおそれ」がない場合、一般人による通報は、通報義務が努力義務とされているが、障害者虐待防止法では、そのような区別をすることなく一律に通報義務が課されることとなっている。
【使用者による虐待】
通報先は「市町村又は都道府県」とされている。
市町村が通報を受けた場合は、都道府県に通知され、都道府県は、虐待の通報を受けた場合や市町村から上記の通知を受けたときは、都道府県労働局に報告をしなければならないとされ報告を受けた都道府県労働局は、労働基準法、障害者の雇用の促進等に関する法律等による権限を適切に行使するものとされている。
❼通報による免責
- 通報しても、守秘義務違反には該当しない。
- 通報したことを理由に不利益(解雇など)な扱いを受けない。
まとめ
倫理綱領や法律に関わる領域は、苦手に思う方が多いと思います。でも、学習して分かったように小学校高学年の社会科レベルです。
基本的な事項を理解して過去問をやれば、確実に得点できる領域です。社会保障制度の方が覚えることが多いと思います。
このブログは、出題領域ごとに必ず覚えなければならない最低限の事項に絞り作成しています。厚い参考書を読むのが苦手な方や勉強の仕方が分からない、とにかく基礎学力をつけたい方の一助になればと思います。
興味のある方は、他の記事を確認してみてください。
- 基礎学力を身につける講座Ⅴ『社会保障制度』
- 基礎学力を身につける講座Ⅳ『社会の理解』
- 基礎学力を身につける講座Ⅲ『コミュニケーション技術』
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