講座内容の説明と学習方法
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『ICIDH(国際障害分類)、ICF(国際生活機能分類)』と『精神障害、発達障害』について学びます。確実に押さえなければならない最低限のポイントについて記載しています。全てをマスターすることにより、しっかりとした基礎ができます。
ICF(国際生活機能分類)は介護課程の基本だから、確実に理解しましょう。
この領域もしっかり学習すれば安定した得点が期待できます。この講座で基礎を固めると伴に、過去問やワークブック(参考書)で知識を深めましょう。昨年は10問、出題されていましたね。しっかり勉強したから、僕は9問正解出来ました。
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ICIDH(国際障害分類)とICF(国際生活機能分類)
ICIDH(国際障害分類)
- 障害のある人の状態のマイナス面を強調することになり、機能障害があれば必ず能力障害が生じ、それが社会的不利につながるというような単線で一方向的な図式。
- 現実にそぐわない面がある。
【ICIDHの障害分類】
機能障害 | 回復不可能な生物学的な状態。〔病気、けがによる心身の機能低下〕 |
能力障害 | 機能障害に起因した機能面の制約。〔生活における活動能力の低下〕 |
社会的不利 | 機能障害➡︎能力障害の結果、社会的役割を果たすことが制限される。 |
例:〔片麻痺になる〕➡︎〔歩けなくなる〕➡︎〔仕事が制限される〕
ICF(国際生活機能分類)
- 生活機能と背景因子とに分けられる。
- 生活機能:「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」を包摂。
- 背景因子:「環境因子」と「個人因子」
- 生活機能は、プラス面もマイナス面も含む中立的な概念である。
- 生活機能は、「健康状態(病気やけが)」や「背景因子(環境因子・個人因子)と相互に作用する。
【ICFの構成要素 解説】
健康状態 | 病気、変調、けがなどや加齢、ストレス状態、妊娠など広範囲のものを含む。 |
心身機能 | 手足の動き、視覚・聴覚、精神の働きなど。(心理的機能も含む。) |
身体構造 | 著しい変異や喪失などの心身機能また身体構造上の問題。 |
活 動 | ADLだけでなく、家事や職業上の行為、余暇活動に必要な行為、社会生活に必要な行為。 「能力(できる活動)」と「実行状況(している活動)」に分けてとらえる。 |
参 加 | 家庭や社会に関わり、そこで役割を果たすこと。 社会参加だけでなく、職場、趣味の会、スポーツ、地域組織などの中で何らかの役割をもつ、 文化的・政治的・宗教的などの集まりに参加するなど広範囲のものが含まれる。 |
環境因子 | 建物や道路、交通機関、家族や友人、同僚、医療や福祉をはじめとしたあらゆる法律や制度。 介護保険制度。 |
個人因子 | 年齢、性別、民族、生活歴(学歴・職歴・家族歴など)、価値観、ライフスタイルなど。 |
「介護課程」の領域で、更に知識を深めましょう。
精神障害
統合失調症
以前勤務していた施設の入居者の方に統合失調症の方がいらっしゃいました。とても辛そうでした。「陰性症状」はさほど感じませんでしたが、「陽性症状」が強かったです。
本人納得の上で病院受診を試みましたが処置入院の履歴があり、その詳細やご家族等の関係から叶いませんでした。今でも気がかりです。
陽性症状 | 幻覚、妄想、焦燥、まとまりのない会話と行動など。 |
陰性症状 | 感情の平板化、意欲の低下、意思疎通不良など。 |
幻覚や妄想などの話があっても、肯定も否定もせず中立的な立場でいなければなりません。
うつ病・躁うつ病
うつ病
うつ病は、年齢を問わず誰もが発症する可能性のある病気。うつ病になるきっかけは様々で、年を重ねることで経験する出来事が影響し、高齢になってからうつ病を発症することも決して珍しくない。
高齢者のうつ病は、認知症と間違われることがある。〔下表⬇︎〕
老人性うつ病(正式な病名ではない)
老人性うつという正式な病名はなく、一般的に、65歳以上の方がうつ病を発症した時に、そのような表現を用いることがある。
- 症状が見えにくい。治療が遅れ重症化しやすい。
- 認知症の症状と間違われることがある。
- 意欲や思考力の低下、興味や喜びの喪失。
- 抑うつ気分などによって日常生活に支障を来す。
- 生きがいがない、楽しみがない、漠然とした不安がある。
- 頭痛や肩凝り、吐き気、不眠や過眠、食欲不振、めまい、極度の疲労感など、精神的な症状よりも身体の不調を強く訴えるケースも多い。⬅︎重要
- 服用中の薬の影響で起こる可能性もある。⬅︎重要
- 「辛いね」「大変だね」などと同意することが重要。
- 「気のせいだよ」と否定したり「頑張れ」などと励ましたりしない。
躁うつ病(双極性障害)
高齢者の躁うつは多くない気がする。下表を見ればそう思える。ネットで調べてもヒットしない。事実は分かりません。
気分が高揚したり病的爽快や疲れを知らないで作業を進める高齢者に出会ったことはないです。
躁状態 | 気分が高揚し、病的爽快、多弁多動、欲求亢進、観念奔逸、疲れを知らないで作業を進める、 他人に干渉など。 |
うつ状態 | 割愛。 |
高次脳機能障害
“脳卒中や事故などをきっかけとして脳の機能が著しく障害を受けることにより、さまざまな状態を引き起こすことです。
たとえば、ものを覚える、気持ちを抑える、目的を持ってものごとを遂行する、などがうまく行えなくなってしまう状態です。上記のような状態となることから、高次脳機能障害を発症すると、日常生活を送ることが難しくなる場合があります。”〔メディカルノート引用〕
- 脳卒中 ⬅︎最も多い
- 脳外傷
- 脳腫瘍
- 脳炎など
- 言葉がうまく出てこない。言いたいことが言えない。
- ものの理解がうまくできない。
- 食事をとったかどうかを思い出せない。
- 記憶力に障害が生じる。
- 欲求・感情のコントロールがうまくできない。
- 注意力が散漫となる。うっかりミスが増える。
- 服の着方を忘れてしまう。
- 患側の空気を無視する『半側空間無視』。
❸症状の分類
分類 | 特徴 |
記憶障害 | 物の置き場や約束を忘れる。新しい出来事を記憶できない。何度も同じことを繰り返し質問する。 |
注意障害 | 注意の持続・維持が困難となる。集中できない。 同時に2つ以上のことをすると混乱する。周りに注意を向けられない。 |
遂行機能障害 | 決まった方法にこだわり、状況に応じた判断ができない。物事の段取りが悪い。 日常生活や仕事の内容を計画して実行できない。 |
社会的行動障害 | 良くないと分かっていても怒りを爆発させてしまう。自分から何かを始めることができない。 ひとつのことに固執してしまう。 依存、退行、抑うつなどの行動が見られる。 |
失語症 | 言葉が出てこない。話の内容が分からない。 |
失行症 | 手や指に問題が無く、記憶にも問題は無いのに、食事や字を書くといった、日常の簡単な事が 出来なくなる。 行為の順番や、道具の使用方法などが分からなくなる。 |
失認症 | 見たり聞いたり触ったりした物の名前を言ったり、その意味が思い出せない。 目で見ている物が何なのか分からない。 目で見ている物が何かは分かるが、それが何に使うものか、何と言う名前なのか、 関連付けることが出来ない。 麻痺がないにもかかわらず、自分の身体が認識出来ない。 |
次に学習する『発達障害』や『高次脳機能障害』、『認知症』の症状は類似している。
発達障害
“発達障害とは、生まれつきの脳の障害のために言葉の発達が遅い、対人関係をうまく築くことができない、特定分野の勉学が極端に苦手、落ち着きがない、集団生活が苦手、といった症状が現れる精神障害の総称です。”〔メディカルノート引用〕
- 生まれつき(先天性)の脳の障害
- 明確な発症メカニズムは解明されていない。
- 言葉の発達が遅い。
- 対人関係をうまく築くことができない。
- 特定分野の勉学が極端に苦手。
- 落ち着きがない。
- 集団生活が苦手。
❸症状の分類
分類 | 特徴 |
自閉症スペクトラム障害 | 幼児期から他者とのコミュニケーションが極端に苦手。 こだわりが強い。 融通が利かない。 反復された行動。 |
注意欠如多動性障害 (ADHD) | 注意力が極端に散漫。 衝動性の高い行動が見られる。 集団生活の場では、授業中に椅子に座っていることができずに歩き回る。 学業や集団行動に支障をきたす。 |
学習障害 (SLD) | 知的水準自体は低くないものの、読む・書く・計算などの 特定の分野の学習能力が極端に低い。 |
まとめ
冒頭で述べた通り、この領域はしっかり学習すれば安定した得点が期待できます。この講座で基礎を固めると伴に、過去問やワークブック(参考書)で知識を深めましょう。過去問や予想問題を徹底的にやりましょう。
介護福祉士の勉強をすると障害をお持ちの方への見かたや考え方が変わると思います。僕にとって最も良かった点です。特に子供達を見ると、その将来やご両親へ思いを馳せます。高齢者福祉は卒業して、障害者の方、特に障害児へ何かできないかと考える今日この頃です。
介護福祉士を取得すると、保育士の受験において難しい3科目が免除されます。多くの方が保育士の資格を取るには専門学校卒以上でないと受験できないと思われていますが、高等学校卒業が平成3年3月31日以前であれば、受験資格があります。 平成3年4月1日から受験資格が短期大学卒業程度に引き上げられた事による経過措置で、平成3年3月31日以前に卒業された方が受験資格を有することとしています。
オルガンやピアノできないよ。実技試験で落ちちゃう。
①音楽に関する技術②造形に関する技術③言語に関する技術から2科目だから、大丈夫かも?地域限定保育士試験制度も調べてみたら。
介護福祉士を取ったら保育士資格を取得して、放課後デイサービスへの転職も良い鴨知れませんね。
正解にたどり着く思考
僕がこの領域で唯一不正解だった問題を振り返ってみました。
正解は、5.障害者の権利に関する条約です。「障害者が作成の段階から関わり、その意見が反映されて成立したもの」が問いです。全く分かりません。さて、消去法作戦の開始。
一般的に素人が法律の作成段階から関わらないだろ〜と根拠なく決め付ける。だから、法律は一瞬にして消えた。✖️を2個もつけてる。
「国際障害者年」と「障害者の権利に関する条件」の二者択一となる。正解に近づいている。💦
第一印象は、「障害者の権利に関する条件」。正解の匂いがする。
でも、条約は国際的な法律だよなぁ〜。と言うことは、法律の作成段階から関わらないという理論を展開すると「国際障害者年」だろう。でも、違和感がある。
残念でした。ハズレ。5.「障害者の権利に関する条約」が正解です。
今振り返ると、「その意見が反映されて成立したもの」と書いてある。成立するものとは法律だよな。惜しいけど、初めから理論破綻していた訳か。💦
試験中にこんなこと👆してました。
成立すると言う言葉に潜在意識は反応していたと思う。国際障害者年は何かを宣言したことは覚えていたので、違和感を持ちました。第一印象が大切ですね。
このブログは、出題領域ごとに必ず覚えなければならない最低限の事項に絞り作成しています。厚い参考書を読むのが苦手な方や勉強の仕方が分からない、とにかく基礎学力をつけたい方の一助になればと思います。
興味のある方は、他の記事を確認してみてください。
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