基礎学力を身につける講座Ⅳ 『社会の理解』

介護福祉士国家試験 基礎講座

講座内容の説明と学習方法

講座内容の説明

★デスクトップバージョンでご覧ください。

『社会の理解』において、確実に押さえなければならない最低限のポイントについて記載しています。この領域は、主に「介護保険制度」に関わる基本的事項になります。簡単ですから、全てをマスターして基礎学力をつけましょう。

(注)使用している表は自作です。引用している画像には引用元を記載しています。

学習方法

何回も読んで理解し、全てを暗記してください。暗記するだけです。

学習を開始

介護保険サービスの基本

講師

「介護保険の保険者は誰ですか?」 「市町村および特別区」です。このような基本的な事項について、しっかり学びましょう。

根拠法等介護保険法  (応益負担)
保険者市町村および特別区です。
被保険者市町村の40歳以上の住民が対象です。
65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者に区分されます。
受給権者第1号被保険者で、「要介護または要支援の認定」を受けた人。
第2号被保険者で、指定された「特定疾病」により介護が必要となった人。
申請先市町村および特別区の窓口です。
認定の審査市町村および特別区の「介護認定審査会」です。
認定区分要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5の7区分です。
費用構成保険料5割+公費5割   +自己負担*+自己負担は考え方で異なる。)
自己負担介護サービス利用の自己負担は、1割負担(所得により2割または3割負担となる)
審査請求不服申立の審理・裁決を行う第三者機関は、各都道府県に設置された「介護保険審査会」です。
表は自作です。
引用元:公益財団法人 長寿科学振興財団
おじさん

外国人も介護保険サービスを利用できますか?

日本に3ヶ月を超えて滞在する40歳以上の外国人の方は介護保険の被保険者となります。したがって、要介護または要支援の認定もしくは指定された特定疾患で介護が必要と認定された人は日本人と同様に利用できます。

介護保険サービスの種類

介護サービスは、大きく「居宅サービス」と「施設サービス」とに分けられます。

  • 居宅サービス自宅(居宅)で生活する人を対象とした介護保険の介護サービス全般
  • 施設サービス:下表の施設サービス

次のように、少し細かく分けるのが一般的です

  • 居宅サービス・介護予防サービス
  • 地域密着型(介護予防)サービス
  • 施設サービス
  • プラン ⬅︎居宅介護支援、介護予防支援の講義は割愛します。
お局様

地域密着型サービスって初めて聞いたけど、他と何が違うの?

利用できる人の住所等の条件や利用人数(定員)、設備の基準、職員の人員配置基準(どの様な職種を何人配置しなければならないという決まり)が違います。

【Point】 地域密着型サービスを行う場合、市町村長が指定する。例えば、地域密着型の通所介護サービス事業所を開設する際は、市町村長へ申請して指定される。監督も市町村長になります。

介護保険サービス一覧

居宅サービス・介護予防サービス

1.訪問介護 皆さんご承知だから説明は割愛しますが、要介護認定者が対象です。要支援認定者への介護予防訪問介護は、2015年4月より介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に移行され、2017年度までにすべての市町村で実施することとされました。
2.通所介護  詳細は割愛。利用者定員が19名以上です
3.(介護予防)訪問入浴介護 居宅にサービス事業所が浴槽を持ち込んで行う入浴の介護です。
4.(介護予防)訪問看護 主治医の指示を受けた看護師等が居宅に伺い、その人らしい療養生活を送れるように支援するサービスです。
5.(介護予防)訪問リハビリテーション 主治医により訪問リハビリの必要性が認められた場合、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が居宅を訪問しサービスを提供します。
6.(介護予防)居宅療養管理指導 通院が困難な利用者に対し、医師、歯科医師、薬剤師、看護職員、歯科衛生士又は管理栄養士が居宅を訪問して、心身の状況や置かれている環境等を把握し療養上の管理及び指導(アドバイス)を行います。
7.(介護予防)通所リハビリテーション 医療機関や老健(介護老人保健施設)、介護医療院で行っている通いでリハビリを受けられる介護保険サービスです。医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護職員などの人員配置基準があります。デイケアとも言います。
8.(介護予防)短期入所生活介護 特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所してもらい、食事、入浴、その他の必要な日常生活上の支援や機能訓練などを行うサービスです。ショートステイとも言います。
9.(介護予防)短期入所療養介護 介護老人保健施設、療養病床のある病院や診療所等に短期間入院し、看護、医学的管理の下で、介護、機能訓練、医療処置、日常生活上の世話を提供するサービスです
10.(介護予防)特定施設入所者生活介護 介護保険の指定を受けた介護付有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが、入居している利用者に対して入浴・排せつ・食事等の介護、その他必要な日常生活上の支援を行うサービスです。
11.(介護予防)福祉用具貸与 説明は割愛します。
12.(介護予防)特定福祉用具販売 説明は割愛します。
13.(介護予防)住宅改修 詳細説明は割愛します。住宅改修における利用限度額は、要介護区分に関係なく、20万円が限度となります。基本的にひとり1回になります。1回の改修で20万円を使い切らずに、数回に分けて使うこともできます
滝口女子

「特定施設」って、どんな施設ですか?

なか島男

1 有料老人ホーム、 2 軽費老人ホーム(ケアハウス) 、3 養護老人ホームです。「サービス付き高齢者向け住宅」については、「有料老人ホーム」に該当するものは特定施設とります。

滝口女子

有料老人ホームが何か分からなくなったわ?

なか島男

LIFULL介護さんに良い資料があったから確認してね。有料老人ホームとサ高住(サービス付き高齢者住宅)の違いも時間あれば調べてね。

引用元:LIFULL介護さん

地域密着型(介護予防)サービス

1.地域密着型通所介護 詳細は割愛。利用者定員が18名以下です
2.定期巡回・随時対応型訪問介護看護 定期的な巡回又は随時通報により、利用者の居宅を訪問し、入浴、排せつ、食事等の介護、日常生活上の緊急時の対応など安心して居宅で生活を送ることができるようにするための援助を行うとともに、療養生活を支援し、心身の機能の維持・回復を目指す介護給付のサービスのことです。
3.夜間対応型訪問介護 夜間の時間帯に限定した訪問介護が受けられる介護保険サービスのひとつです。①定期巡回、②随時訪問、③オペレーションサービスがありますオペレーションサービスでヘルパーを利用すると、②随時訪問サービスになります。
4.地域密着型特定施設入所者生活介護 定員29名以下の特定施設入居している利用者に対して入浴・排せつ・食事等の介護、その他必要な日常生活上の支援を行うサービスです。
5.地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 定員29名以下の特別養護老人ホームのことです。「地域密着型施設サービス計画」に基づいてサービスを提供する施設をいいます
6.看護小規模多機能型居宅介護 利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」をして介護をしていくことに加えて、看護師などによる「訪問看護」も組み合わせることができるサービスです。(複合型サービスとも呼びます)
7.(介護予防)小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護において、訪問看護サービスがないものです。
8.(介護予防)認知症対応型通所介護 認知症の方に限定した小規模な通所介護サービスです。
9.(介護予防)認知症対応型共同生活介護 グループホーム。認知症の人だけのケア付き住宅です。1つの共同生活住居に5人~9人以下の少人数。
表は自作です。
おじさん

看護小規模多機能型居宅介護のイメージが湧かない。

引用元:公益財団法人 長寿科学振興財団さん

施設サービス

1.介護老人福祉施設 入所定員が30名以上の特養のことです。定員29名以下は、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」です。
2.介護老人保険施設 説明を割愛します。
3.介護医療院 長期的な医療と介護の両方を必要とする要介護認定者に対し「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と、「生活施設」としての機能を提供できる施設です。介護療養型医療施設の廃止に伴い新設された施設サービスです。
4.介護療養型医療施設 比較的重度で長期療養が必要な要介護認定者対し、充実した医療処置とリハビリを提供する施設です。老健や介護医療院への転換が決まっており、2024年3月末までに廃止の予定です。(介護療養型医療施設=介護療養病床)
表は自作です。

障害福祉サービスの基本

根拠法等障害者総合支援法  (応能負担)
給付者市町村および特別区です。
被保険者身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、政令で指定された難病等の患者
18才以上の人
受給権者上記の障害者及び難病等の患者
申請先市町村および特別区の窓口です。
認定の審査「市町村審査会」です。
認定区分「区分1」から「区分6」の6区分
費用構成公費100%+自己負担*+自己負担は考え方で異なる。/ 下段参照)
自己負担1割負担が基本であるが、利用者負担の上限額は、所得に応じて「一般1」「一般2」
「低所得」「生活保護」の4つの区分に分かれる。詳細は割愛。
審査請求不服等の申立ては、各都道府県に設置された「障害者介護給付費等不服審査会」です。
表は自作です。
引用元: NTTドコモさん

お局様

これまで高齢者福祉だけに関わって来たから、サービスのイメージが湧かない。

講師

武田薬品工業さんのホームページに分かりやすい図があったから紹介するよ。

引用元:武田薬品工業株式会社さん
講師

たくさんのサービスがあるよ。必ず試験に出るから覚えてね。

自立支援給付〔市町村〕

❶給付介護

1.居宅介護 居宅へ出向くホームヘルプサービスのことです。詳細は割愛。
2.重度訪問介護 体が不自由で常に介護を必要とする人の居宅や入院先で、身体介護や家事援助など提供する。
3.同行援護 視覚障害により移動が難しい人に、外出時の動向や代筆、代読などを行うサービスです。
4.行動援護 知的障害や精神障害があり行動の際に介護を必要とする人に、行動に伴う危険を回避するための援護を行うサービスです。
5.重度障害者等包括支援 重度の障害があり多くの種類の支援が必要な人に対する、包括的なサービスのこと
6.短期入所(ショートステイ) 説明は割愛。
7.療養介護 医療機関に入院中の人に、医療的ケアや日常生活の介護を提供します。
8.生活介護 常に介護を必要とする人支援施設へ通所し、日常生活上の支援を受けるほか、創作的活動や生産活動を行うサービスです。
9.施設入所支援 施設に入所している人に対し、夜間の支援を提供するサービスです。(入浴や排せつ、食事などの介助などを行う)

❷訓練給付

1.自立訓練 地域で生活するために必要な体の機能や生活能力の維持・向上を目的として行われる訓練です。身体障害のある人に対してリハビリテーションなどを行う「機能訓練」と、知的障害や精神障害のある人に対して食事や家事などの訓練を行う「生活訓練」があります。
2.就労移行支援 一般企業での就労を目指す人に対し、働くために必要な知識や能力を身につけるための職業訓練や就職活動のサポートに加え、就職後に長く働けるように職場定着のための支援を提供するサービスです。
3.就労継続支援 一般企業での就労は難しいものの、支援があれば働くことができる人に、働く場と、知識や能力向上のための訓練を提供するサービスです。雇用契約を結んで働くA型(雇用型)と、契約を結ばずに働くB型(非雇用型)の2種類があります。
4.就労定着支援 就労移行支援を受けて就職した人が就労により直面する生活上の困りごとに対する支援を行うサービスです。
5.自立生活援助 支援施設や医療機関を出て一人暮らしをする人の自宅を定期訪問して支援するサービスです。
6.共同生活援助 世話人の支援を受けながら生活する住居である「グループホーム」で暮らす人に対し支援を提供するサービスです。

❸自立支援医療・・・割愛

❹補装具・・・割愛 

地域生活支援事業〔市町村〕

講師

余裕があったら、自分で整理してみてください。先ずは、「自立支援給付」を完全に覚えよ〜。

地域生活支援事業〔都道府県〕

講師

上図を見ると、市町村の支援ですね。余裕があれば、調べてみよう。

第34回国家試験では、障害福祉にかかわる出題数増えると思います。近い将来、介護福祉士の役割が少し変化しそうです。共生社会の実現に向けた取組みの一環です。基本事項をしっかり押さえて、知識を広げましょう!

僕が介護福祉士国家試験の勉強をして一番良かったことは、障がい者の方の制度が学べたことです。介護福祉士=高齢者介護と勘違いしていました。初めて勤めたケアハウスにM井さんと言う左片麻痺の女性入所者がいらっしゃいました。最も親切にいてあげれば良かったと反省してます。また、障がいを持つ子供達に会うと、障がい者福祉に目が向けられる様になってほしいと思います。そろそろ高齢者介護は卒業して、障害者の方の支援へシフトしようかなぁ。

介護保険法改正の歴史と主な内容

2005年(平成17年)

  • 新予防給付の創設:〔補足〕要介護認定が、現行の6区分から7区分に変わりました。。「要支援」は「要支援1」になり、「要介護1」は「要支援2」と「要介護1」に分かれました。「要支援1」「要支援2」の方は、介護給付ではなく、新予防給付の対象となります。
  • 地域支援事業の創設:〔補足〕高齢者が要介護状態になることを予防するとともに、社会に参加しつつ、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として、各市町村が実施する事業が創設されたことです。
  • 地域密着型サービスの創設:〔補足なし〕
  • 地域包括支援センターの創設:〔補足なし〕
おじさん

地域(市町村)に関わる仕事が増えた印象ですね。

2011年(平成23年)

  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の創設
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設
  • 介護予防・日常生活支援総合事業の導入
おじさん

地域密着型サービスが新設されていきますね。

2014年(平成26年)

  • 特養への新入所者を原則要介護3以上に変更
  • 第1号被保険者の自己負担2割の導入〔補足〕一定の所得のある人が1割負担から2割になることが導入されたことです
  • 介護予防訪問と介護予防通所介護を地域支援事業へ移行

2017年(平成29年)

  • 第1号被保険者の自己負担3割の導入〔補足〕一定の所得のある人が2割負担から3割になることが導入されたことです。所得により1割負担の人、2割負担の人、3割負担の人がいることになった。
  • 介護医療院の創設
  • 共生型サービスの創設:〔補足〕簡単に言うと、「介護保険」と「障害福祉のサービス」を同一の事業所で一体的に提供することができるようになったこと。

まとめ

「介護保険制度」の基本的なことだけ整理してみました。ボリュームはあるけれど、直接仕事に関わる内容だからまだ覚えやすいと思います。

「介護保険サービスの一覧」や「介護保険法改正の歴史と主な内容」を眺めると、介護保険サービスが地域(市町村)へ移行されていることが分かりますね。そう思うと、法改正の内容も覚えやすいですよ。

地域包括ケアシステムなんて絵に描いた餅だと思っていたけど、国は確実に進めているんですね。

お局様

『地域包括ケアシステム』とは何ですか?

講師

下の図です。おおむね30分以内に必要なサービス(医療、介護、生活支援・介護予防、地域包括支援センターなど)が提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位としているよ。

引用元:厚生労働省

このブログは、出題領域ごとに必ず覚えなければならない最低限の事項に絞り作成しています。厚い参考書を読むのが苦手な方や勉強の仕方が分からない方、とにかく基礎学力をつけたい方の一助になればと思います。

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